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早稲田大学ビシネススクールが考える、今後のハイフレックス授業・ハイブリッドワークと企業経営のあり方


国内外で多くの実績を持つ教授陣の指導を受けられる、国内最高峰のビジネススクールである早稲田大学ビジネススクール(早稲田大学経営管理研究科)では、コロナ禍の早い時期から対面授業とオンライン授業を融合させた「ハイフレックス型授業」を提供してきました。

今回は、早稲田大学ビジネススクールの「顔」でもある池上教授に、今後のハイフレックス型授業のありかた、ハイブリッドワークと企業経営についてお話を伺うことができました。

早稲田大学ビジネススクール 教務担当教務主任/博士(経営学) 池上重輔 教授

コロナは企業に変革を促し、リスク管理の重要性を認識させた

Neat: :貴校の学生には企業の経営層も多いですが、コロナ禍が企業経営にもたらした影響についてどのようにお考えですか?

池上様(以下敬称略) :新型コロナウイルス感染症の流行は、企業活動の変革を早めました。企業における変革とは、働き方だけではなく、戦略をどう変えるかということも含めます。コロナ禍を経験することにより、さまざまな企業が不測の事態に起こりうるリスク管理の重要性を、明確に捉えるようになりました。
 
合わせて、ビジネスモデルを前向きに変えていこうと考える企業が増えています。リモートワークが定着した企業は、オフィスの作り方やあり方もそれに合わせて変えるなど、さらなる変革を進めています。オフィスでたまに顔を合わせるときにはコミュニケーションを図ろうと、専用のスペースを作る企業もあります。こうした動きは日本だけではなく、ワールドワイドな傾向としてあり、オンラインでつながりやすくなることで、海外と接する機会が非常に増えてきました。

Neat :コロナ禍からコロナ後の現在を含めて振り返って、貴校の講義スタイルや学生のみなさんにどのような変化がありましたか?

池上 :学生も教員も、オンラインでの講義等と対面でのコミュニケーションとに分けて行っています。対面での講義はリアルタイムで行い、それ以外のグループワークや個別指導などには、オンラインが多用されるようになってきています。ケースバイケースで、オンラインや対面を使い分けており、それも共通ルールの場合と個人の判断で行う場合とあり、割と自然体で使い分けられるようになってきたという印象を持っています。
 
また、早稲田ビジネススクール(以下WBS)は60代後半以上の先生方が少なくないのですが、驚くことに年齢問わずほぼすべての先生が、オンラインでの講義やグループワークに、なんらかの形できちんと対応していました。それは、WBSのオペレーションチームのサポートがあるとは言え、ある程度自前でZoomなりNeatデバイスなりを使えるようになったと思います。
 
Neat :Neatのデバイスを授業のツールとしてお使い頂いた所感を伺えますか?
 
池上 :エグゼクティブ向け講義でも研究会でもかなり頻繁に使用していますが、一言で言うと極めて助かっています。エントリーのスムーズさ、PC環境とNeat Boardとのインターフェースのシームレスさ、マイクとスピーカーの品質の良さなど、多くの要素にわたり評価は高いです。40人くらい収容できる教室であれば、Neat Boardで音声がおおよそ拾えるので、オープンなコミュニケーションがハイフレックスで実現できます。グループワークなども、オンラインで極めてシームレスに参加できるので、ストレスを感じることがないです。また、UIがわかりやすいので、ゲストの講演者が初めて使う場合もお任せできるという点にも使い勝手の良さを感じています。
 
可動式のNeat Boardは持ち運びができるので、Neatデバイスを据え置きしている教室が使えないときに使用することができます。標準的なサイズのエレベーターにも入って、一人でもギリギリ運ぶことができるサイズ感もいいですね。企業と共同でやる研究会などでは、ハイフレックスでやりたいのでNeat Boardのある部屋でお願いしますと言われることも、最近は増えてきています。

Neat :どこにいても相手と一緒にいるような感覚を感じられるソリューションの出現により、企業にはどのような新たな可能性が考えられるでしょうか?

池上 :在宅か出社かを意識せずにコミュニケーションが図れるようになることで、「参加できる人」の広がりが増えると思います。社員としての広がりが増えるのはもちろんのこと、子育てや病気など個人の活動に制約がある人の制約も取り払われて参加できるようになるのではないでしょうか。また、さまざまな企業と行う研究会も、Neat Boardを使うことにより、より快適でシームレスにできるようになるので、社外とのコミュニケーションも広がっていくと思います。
 
Neat Boardのようなデバイスを使ったソリューションの出現により、オンラインでの会議や講義などで生まれた課題は、どんどん解決してきていると感じています。

Neat :ハイフレックス会議のデバイス導入は、投資と考えられますか?それとも、コストになりますか?

池上 :投資とコスト、両方の要素が出てくると思います。デバイスの導入自体は投資として考えるだろうし、継続的なメンテナンスやサポートはコストとしてカウントしなくてはならないので、設備投資と運営維持費が両方入ってくるというふうに認識しています。バージョンアップは微妙ですが、ソフトの入れ替えなど追加的にやるものは、投資と考えます。運用のサポートはコストになってくるので、今後はそこをどうコントロールするかということを考えていかなくてはいけないなと思っています。

変化を迫られ、オンライン化せざるを得なくなっていく日本

Neat :コロナ後も海外では日本に比べてハイブリッドワークが定着した企業の割合が大分高いようです。日本におけるハイブリッドワークを実施する企業の割合は、今後どうなっていくとお考えですか?

池上 :日本の場合は、対面に戻っている人でも必要なときにはオンラインを使うという人が多いのと、これからますます人手不足になるので必要に迫られてという2つの理由で、オンライン比率はある時点で急速に上がっていくのかなと思っています。
 
若い人たちは、業務に必要なことは阿吽の呼吸ではなく、ロジカルにオンラインで全部伝わるようにしてもらった方がいいと思っているので、人手不足に対応するためにオンライン化せざるを得なくなっていきます。そうなると、オンラインの比率は、10年以内にはアメリカとあまり変わらなくなるのではと考えています。
 
大企業だけでなく、中小企業もオフィス系のビジネス等は、ますますオンライン化せざるを得なくなってくると思います。雇用を減らしても収益を落とさず生産性を上げるような工夫が必要になりますが、中小企業がオンライン化のソリューションをどう活用するべきかという方法はまったく共有化されていないように思われるので、今後はソリューションの活用事例を抽象化した上で、各企業にマッチするよう具体的に教えていく仕組みが必要になるのではないでしょうか。

早稲田大学ビジネススクール 大学院経営管理研究科 ビジネス・ファイナンス研究センター
招聘研究員/博士(政策・メディア) 工藤 紀篤様

オンラインコミュニケーションの進化による教育と研究の質の高まりを期待

早稲田大学ビジネススクールでは、セットアップの簡単さや機能性の良さから導入した7台のNeat Boardに加え、小型で可搬性が高く、少人数でのディスカッションに便利なNeat Frameを配備することにより、教室と遠隔とで生まれていた「コミュニケーションの隔たり」の解消に取り組み、ハイフレックス型授業を行ううえでの「教育と研究の質の向上」を実現しています。

Neat :コロナ禍でのオンライン授業は、どのように変化していったのでしょうか?

工藤様(以下敬称略) :2020年の4月の緊急事態宣言発令によりキャンパスでの授業ができなくなり、WBSでは急遽契約したZoomをつかって教員も学生も、各自のノートパソコンやスマートフォンで自宅から授業に参加しました。秋ごろには教員も学生も徐々に大学に戻ってこられるようになり、今度は、教室と自宅にいる学生が一緒に受ける、対面とオンラインが混じったハイフレックス型の授業が始まりました。このハイフレックス型授業は当初、映像や音声のクオリティが低かったり、そもそも準備やトラブルで繋がらなかったというようなトラブルが起こることもあり、なかなかうまくいきませんでした。そこからさまざまなデバイスを比較検討して、使いやすさや管理のしやすさ、マイクとカメラの性能のよさといった点から、Neatデバイスを採用しました。
 
2020年の後半ぐらいから学生たちがだんだん教室に戻ってくるようになったわけですが、一部の留学生は日本に入国できず教室にいる学生とオンラインで参加する学生が混在するハイフレックス型授業の重要性は高まりました。2021年の4月からフル稼働しているNeat Boardは、電源ケーブル1本つなぐだけで誰でもすぐ使えて、複雑な配線もいらないので運用が簡単で、故障やトラブルが少ないですし、本体内蔵のマイクやカメラが高性能なところも評価しています。
 
Neatデバイスを導入する前は、PCやマイク、カメラ等荷物が多く教室でのオンライン授業は準備がすごく大変でした。私は、実際に授業をするのではなく、オンライン授業のサポートやデバイス導入のコンサル的な立場ですが、準備やトラブルシューティングに時間を使わなくてよくなったという話はよく聞きますし、先生方には授業に集中してもらえるようになったのではないかと思っています。

Neat :コロナ後の環境はどう変化したか、お聞かせください。

工藤 :ポストコロナの今は、学生たちがキャンパスに戻りこれまで同様に教室でディスカッションができるようになりました。しかし授業によっては、自分や家族のコロナへの罹患や仕事のやむを得ない事で教員が許可すればオンラインで参加するケースも増えました。オンラインでのコミュニケーションが一般化し、多忙な企業の第一線の経営者の方などにゲスト講演者としてオンラインで参加いただくことも増えました。国内はもちろん、国外からも参加していただけるようになりましたし、教室に来ていただく場合に比べるとゲスト講演者の時間はもちろんのこと、交通費などのコストも低く抑えられるのも利点です。
 
都心だけでなく、地方の中小企業の経営者や、農業をされている方など現場のゲスト講演者にも、授業に参加してもらいやすくなりましたし、さまざまな人を呼びやすくなったということは、大きく変化した点だと思っています。ビジネススクールの教室に、さまざまな職種と立場で働く人たちの生の声を届けるというのは、重要なことだと考えています。
 
育児、家事、介護等を様々な事情のある学生が今後増えていく中で、どうしても通学できない場合にはオンラインで授業に参加できれば、今後のより多くの社会人が仕事をしながら学ぼうと思ってくれるのではないでしょうか。

オンラインと教室の分断を解消するテクノロジー


Neat :グループワークをリモートと教室とのハイブリッド環境で行ってらっしゃると伺いました。Neatのデバイスはグループワークにどのように役立っていますか?

工藤 :これまで、授業内のグループワークでオンラインの参加者がいる場合には、オンラインの学生同士と教室にいる学生同士を分けてグルーピングする必要がありました。そうしなければ、隣のグループのオンラインの参加者の声をこちら側のマイクが拾ってしまい、ハウリングが起こってグループワークができなかったからです。その結果、オンラインと教室の参加者が完全に分断されてしまうことが課題でした。

しかし、複数台のNeat Frameをブレイクアウトルームに適切に配置することで、その問題は解決され、オンラインの参加者も教室の参加者も混在させた全く自然なグループワークが実現しました。

Neat Frameは、2~3mの範囲内で音声を効果的に拾う指向性マイクを備えており、グループワーク時の隣の島からの音声をほとんど拾いません。また、ノイズキャンセル機能が搭載されているため、机の上でキーボードを叩く音やノートをめくるノイズは押さえてグループメンバーの声がクリアに収音されます。。ざわざわした教室でのグループワークでも、オンライン参加者は快適に議論に参加できるようです。
 
さらに、Neat Symmetryという機能により、Neat Frameのカメラが捉えた映像をAIセンサーで一人ひとりを認識し、自動的にズームアップします。これにより、オンライン参加者は教室にいる参加者一人一人を、まるで全員がオンラインで参加しているように見ることができます。
 
小型で持ち運びができ、電源に差せばすぐに使える点も運営側としては重宝しています。
 
授業を行っている教員のお話では、オンラインの学生でも教室に来て行うのと同じ感覚で、それぞれのグループワークを進めることができているようです。

これまでの教室に閉じた授業、全員がオンラインで同じメディアを使う授業に比べ、オンラインと教室参加が混じるハイブリッド環境では、授業にアクセスするメディアが分断するため、授業のやり方に制約が大きくなります。

Neat Frameはそうした分断を埋めるために役立っていますが、今後も様々な製品、ちょっとした工夫等でやりたい授業ができるようになればいいなと思っています。先生によって授業でやりたいことというのは千差万別ですが、技術の進化でハイブリッド環境でもさまざまな授業のスタイルに対応できるようになっていくと思っています。

Neat :オンラインコミュニケーションにおけるデバイスの利用は、今後どうなっていくとお考えですか?

工藤 :全員オンラインで参加するコミュニケーションに関しては、既に教員や学生の皆さんはだいぶ慣れています。一方で、教室に複数人いる状態でオンラインとつなぐと、オンライン参加の学生から見ると、PCの画面の中の一つの枠に大勢が入り、そこで閉じられた会話が進んでおり疎外感を感じやすいと思います。
 
しかし、Neatのデバイスには均等なコマ割りで教室の参加者をそれぞれズームアップ表示したり、動く人を追尾する機能などがあり、教室での参加者もオンラインの参加者も同じような条件で会話やコラボレーションが可能になってきていると感じています。
 
Neatのようなデバイスの進化により、今後はハイフレックス型の授業やグループワークなどで生まれる「教室と遠隔とのコミュニケーションの隔たり」みたいなものを埋めていけると思っていますし、もっともっと教育と研究の質が高まるのではないかと期待しています。
 
大学では、教室に集まって勉強するということももちろん大切なのですが、通学するのは毎日でなくてもいいのではないかと考えています。オンラインで済ませられるようなことは自宅で、対面でなくてはできないようなことは教室に集まってやる、そういう使い分けをする方向に進んでいくのではないかと思います。
 

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