離島間の教育格差や人材不足解消への取り組み 大庭学園様 Neat導入事例
学校法人大庭学園について
2024年度で76年目を迎える「学校法人大庭学園」。建学の精神として「心は豊かに、技は確かに」を掲げ、2017年4月から石垣市離島保育士確保総合対策事業として保育士・幼稚園教諭の資格が取得できる「石垣集団学習会場」を開設しオンラインを活用して授業を行っています。
学校法人大庭学園の取り組みと、仲里様が担当する役割をお聞かせください。
当学園では「沖縄福祉保育専門学校」と「ソーシャルワーク専門学校」という2校の専門学校、4つのこども園と1つの保育所を運営しています。沖縄県内の福祉人材育成を目的に保育士や幼稚園教諭、介護福祉士の養成を行い、社会福祉士や精神保健福祉士を目指す通信課程を設け、大庭学園では保育士・介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士といった福祉の4大国家資格を取得する事ができます。
(*介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士は受験資格)
沖縄県の福祉人材不足を解消すること、福祉の現場がより良い環境になるよう社会課題の解決に寄与していきたい思いがあります。
石垣市在住でも保育士・幼稚園教諭の資格が取得できる「石垣集団学習会場」では、沖縄の離島・石垣島在住の方がオンライン授業で学べるよう、石垣市と連携して仕組みを整えました。学籍としては兵庫県の豊岡短期大学通信教育部こども学科に入学し、レポート・試験の対策授業やスクーリング対応を大庭学園の教職員が行っております。
保育士の現場で補助として働く方や、その他業種で働いている方が資格を取りたい、学び直したいと入学し、働きながら夢を実現できる環境を整えています。
石垣市と繋ぐオンライン授業の際、以前使用していた機材には、どのような課題があったのでしょうか。
2017年当初に使用していた機械は、声や映像が途切れたり、操作性が悪くすぐに別のシステムに移行しました。しかしVPN接続だったため、コロナ禍に入って自宅待機に対応できず、拠点間でしか通信できないことがネックとなりました。特定の教室から動かせない備え付けの機材だったこと、耐久年数が古くなったことから、新しいシステムを検討していました。双方向で同時に喋ると音声が途切れたり、画面共有の際の操作性やインターネットを介しての共有ができないという課題もありました。
また、本校と石垣会場の教室を繋いで利用すると、一番後ろに座る学生の表情が確認しづらく、学生たちの反応を見ながら授業するのが難しいという現状がありました。そういった課題を解決できるデバイスを探していました。
そこで検討したのが、Neatのデバイスですね。導入に至る経緯や選定理由は何だったのでしょうか。
お付き合いのある企業さんから「こんなデバイスがあるよ」と教えてもらいました。デモを行ってもらったところ、音声がクリアで聞き取りやすく、同時に話をしても途切れることが無く、教員の皆さんにも好感触でした。ワンタッチで呼び出しが出来ることや、ケーブルを挿せば画面共有ができる操作性の良さ。個別に学生の顔を確認できるシンメトリー機能も好評でした。このNeat独自の機能があれば、今までの課題が解消でき、教室間を繋いで授業をするにはとても優れた機能だと感じました。
そこで、2023年10月から学校法人大庭学園の本校「沖縄福祉保育専門学校」と離島・石垣市の「石垣集団学習会場」にそれぞれNeat Barを導入しました。それ以前は授業中の通信トラブルや操作方法について問い合わせがありましたが、今では嘘のように問い合わせが来なくなりました。
石垣会場の学生さんとの授業の様子、またNeatデバイスをどのように活用していますか。
石垣市在住の学生は、昼間は社会人として働いている方が多くいます。週3回ほど、平日の夜19〜22時の間に授業を行います。あと月に2回程度、土日にスクーリングを行い、働きながら2年間で保育士や幼稚園教諭の資格取得を目指します。
平日夜の授業は本校の「沖縄福祉保育専門学校」と「石垣集団会場」をNeat Barで繋ぎ、本校にいる教員がオンライン授業を行います。石垣会場には専任教員が1名いて、学生の対応や履修の管理、Neat Barの操作も行います。タッチ式で簡単に繋がる操作性が以前より便利になったと喜んでましたね。
授業以外では打合せによく利用しています。姉妹校の「ソーシャルワーク専門学校」との職員ミーティングや県外の大学・専門学校との打合せ。そして、学生たちが保育現場を体験する実習担当者との連絡会にも活用してます。
授業の際の操作性やNeat Barの使用感はいかがでしょうか。
通常の授業と違い、保育士資格の授業を行う教員として最も聞きたいのは学生たちの声なんです。これがオンライン授業になると一気に難しくなり、1つの課題でした。Neat Barを使用したとき、シンメトリー機能によって教室の一番後ろに座った学生もズームできたり、学生の声をクリアに拾ってくれる。表情や反応がわかりやすくて、学生に向き合った授業が可能になりました。オンライン授業には欠かせない機能だと思います。
以前使用していたシステムより音がクリアで非常に聞きやすく、双方向で同時に話しても音声が途切れない。授業中に映像が固まったり、映像や声にタイムラグが生まれず、授業に支障をきたさなくなりました。授業で動画を使用する際も途切れることなく安心して流せます。授業も福祉も人ありきなので、人の顔が見えるデバイスはストレスを感じませんね。操作がタッチ式で簡単なところもいいと思います。
目の前に子供たちがいると想定して学生が絵本を読んだり、手袋を使って指人形を作り物語を披露する「手袋シアター」という演習もあり、画面越しの教員と教室内の学生たちが見守る中、練習するんです。演習中の学生が画面に表示されると、照れくさい表情や緊張感までリアルに伝わってくる。Neat独自の機能は福祉の分野で今後さらに活用頻度が広がる気がします。
本校からNeatデバイスを繋げて石垣会場で授業を受け、どのような印象を持ちましたか。
大庭学園として、今後の展望をお聞かせください。
大庭学園では現在、石垣集団学習会場の他に文科省の委託事業として福祉分野におけるDX人材養成に関わる事業やオンライン教材を研究・開発する先端教育事業を受託していることもあり、将来的にはそういったところでも利活用させて頂き、複合的に展開していきたいと考えています。
沖縄県は島嶼地域が多く、福祉に関わる職種は離島でも需要が高いと思うんです。しかしながら人材養成の場としてどうしても離島間の差が生じてしまう。専門職の育成をオンライン全般で対応するのは難しい局面もありながらコロナ禍において専門職養成の現場も対面からオンラインへの切り替えを迫られましたが、社会的事象としてNeatやZoomなどの技術や教育体制が進んだということは学校現場のオンライン化に近づける好機だったと今では捉えています。
離島で専門職養成を展開するにはオンライン活用は必須条件だと捉えています。オンラインを活用した通信教育事業を石垣島以外の離島にも拡張できれば、福祉の人材育成をもっと広げられると思うんです。福祉に関わる人材が増えて保育士が確保できれば、こども園を増やせます。それは保育士の職場を確保することにも繋がり、できるだけ多くの子供たちを受け入れできれば地域住民にも貢献できると考えます。
これらを達成するには大庭学園独自の努力だけでは難しく、沖縄県や各市町村との連携、また企業との協働、Neatの技術も必要不可欠だと感じています。福祉の技術は人ありき。オンラインを上手に活用した教育システムを確立して、サポート体制をどのように整えていくか。離島間の教育格差や福祉の人材不足に寄与できる一つの成功事例を作っていきたいですね。