ニッセイ情報テクノロジー株式会社様 Neat導入事例~“コミュニケーション格差”を埋めるには?事例で学ぶオフィスづくりの方法~
テレワーク中の従業員は、オフィスにいる従業員同士の会話に入ることを難しく感じる傾向にある。こうした“コミュニケーション格差”を埋めるために、ニッセイ情報テクノロジーはどのような取り組みを実践しているのか。
感染拡大に伴って全社員にZoomライセンスを付与
ニッセイ情報テクノロジーは、日本生命グループのIT戦略を担っていることに加え、日本生命グループ外の保険会社や医療機関、地方自治体などのさまざまな顧客に向けてITサービスを提供している。そのため従業員がグループ外の顧客企業を訪れる機会があり、顧客先に常駐してシステム構築・運用業務に当たる従業員もいる。同社はそうした業務に携わる従業員のために、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する前からテレワーク制度を整えていたものの、対象となる従業員はごく一部にとどまっていた。
こうした中、2020年にCOVID-19の感染拡大に直面し、急いで全社規模のテレワーク体制を整備しなければならなくなった。その際に真っ先に問題となったのが、顧客とリモートでコミュニケーションを取るための手段の確保だ。ニッセイ情報テクノロジーの工藤 南氏(スマートワーク推進部 ジェネラルマネジャー兼ITマネジメント室室長)は、次のように振り返る。「当社はそれまで、お客さまとの対面のコミュニケーションを重視していました。しかしコロナ禍で対面での会議や打ち合わせが困難になり、代わりのコミュニケーション手段を検討する必要が生じました。そのとき多くのお客さまや従業員から要望があったのが、Zoom Video CommunicationsのWeb会議ツール『Zoom』の採用でした」
まずは顧客と頻繁に会議や打ち合わせをする必要がある、営業部門やコンサルティング部門を中心に、有料版Zoomのライセンスを提供した。その後コロナ禍が長期化し、テレワークで長期間働く従業員が増えるに従い、他部門の従業員からも「業務でZoomを利用したい」という要望が多く寄せられるようになったため、2021年12月に全社員へのZoomライセンス提供に踏み切った。
セキュリティ対策のために、社内ネットワークからの直接利用は不可とし、Zoomは会社貸与のスマートフォンで利用することをルールにした。それでもZoom活用の社内ニーズは高く、Zoomを使って社内外とリモートでコミュニケーションを取るワークスタイルはすぐに定着した。
モバイル端末によるZoom利用の限界を解消するために、ビデオ会議システムを導入
こうしたZoom利用ポリシーには、一部で課題も指摘されていたという。ニッセイ情報テクノロジーの倉上友輔氏(スマートワーク推進部 ITマネジメント室 スペシャリスト)は次のように語る。「Zoomの利用が広がるにつれ、会議室に集まりZoomを使ったWeb会議をするケースも増えてきました。しかし同じ部屋にいる複数の従業員が、各自のスマートフォンまたは1つのスマートフォンでWeb会議に参加することに無理が生じていました」。同社はもともと汎用(はんよう)のビデオ会議システムを導入しており、一部の会議室からはオプション機能でZoomを使うことも可能だった。しかしこのビデオ会議システムではZoomの機能を最大限に活用できないことや、直観的な操作ができないことなどが課題となった。
そこでZoomのライセンスを購入した代理店に相談したところ、「『Zoom Rooms』を活用してみてはどうか」という提案を受けた。Zoom Roomsは会議室での利用に適したビデオ会議システムだ。カメラやマイク、スピーカーなどが一体となった専用デバイスを設置することで、会議室における快適なZoom利用を可能にする。実物のデモを依頼したところ、NeatのZoom Rooms用デバイスを使って、実際にビデオ会議をする様子を見せてもらえることになった。
Neatは、ビデオ会議専用デバイスを提供するノルウェー発のベンダーだ。Zoomや、Microsoftのコラボレーションツール「Microsoft Teams」のユーザー企業に向けたさまざまな種類の製品を提供している。ニッセイ情報テクノロジーの倉上氏は実際にNeat製品を使ったビデオ会議のデモに参加し、その機能を評価している。「それまで使っていたビデオ会議システムはマイクから遠い席に座る参加者の音声を拾い切れず、なかなか声が聞き取れないという問題を抱えていました。しかしNeat製品は、デバイスから離れた位置に座っている人の音声レベルを自動的に大きくしたり、参加者一人一人の映像を個別にズームアップして画面に分割表示したりする機能を搭載しており、高い音声・映像品質を実現している点に驚きました」
会議室に「Neat Frame」と「Neat Bar」、開発部門に「Neat Board」を導入し、コミュニケーションが容易に
Neatは洗練された製品デザインを追求し、見た目がスタイリッシュな点にも引かれたと、工藤氏は語る。「特に15.6型のディスプレイを備えたコンパクトサイズの卓上型ビデオ会議デバイス『Neat Frame』という製品のデザイン性が高く、この製品なら誰もが使いたがるだろうと考えました。小型で持ち運び可能なため、社内の共有スペースに気軽に持ち出してビデオ会議をするといった運用が可能ではないかと考えました」
こうしてニッセイ情報テクノロジーはNeat製品の導入を正式に決定。Neat Frameを2台導入したことに加え、既存のビデオ会議システムで利用していた大型ディスプレイに取り付けて利用できるビデオ会議デバイス「Neat Bar」を7台、65型のタッチパネルディスプレイが一体となったビデオ会議デバイス「Neat Board」を1台導入した。
Neat Barは、初めにIT部門で試験的に導入し、その有用性を実証した(図)後に、複数の会議室に設置した(写真)。その結果、会議のコミュニケーション品質が上がったという従業員の評判が聞こえるようになったと、倉上氏は話す。ニッセイ情報テクノロジーの従業員は、日常的に会議にリモートで参加している。従来のビデオ会議システムで課題となっていた音声品質の低さや、発言者が表示されないといった問題が解消されたことで、リモート参加者の「発言者の声がよく聞き取れない」という苦情はなくなった。「Neat Barを導入後は、全ての参加者の声が自動的にほぼ同じ音量に調整され、一人一人の顔を自動的にカメラが認識して分割表示するため、会議の品質が格段に上がったと大変好評です」(倉上氏)
現場の従業員を対象に、Neat製品を導入してしばらくたった後にアンケート調査を実施したところ、「声がはっきり聞こえるようになり、コミュニケーション品質が上がった」「相手の顔の表情がはっきり見えるようになり、円滑に意思疎通が図れるようになった」といった回答が得られたという。
「Neat Board」で従業員間の場所にとらわれないコミュニケーションを活性化
ニッセイ情報テクノロジーの一部の開発部門は、テレワーク組の従業員がオフィス出社組と円滑にコミュニケーションを図れるよう、Neat Boardでオフィスのフロアの様子を一日中映している。自宅で仕事をしている従業員が「オフィスにいる従業員と話がしたい」と思ったら、このNeat Boardのミーティングにアクセスしてフロアの様子をリアルタイムで確認し、話し掛けることができる。「こうしたコミュニケーション手段を確保しておくことで、テレワークで働く従業員の孤立感や疎外感を解消し、メンタル不調を防ぐ効果があると考えています」と工藤氏は話す。Neat Boardにはホワイトボードに双方向で書き込んだり、その内容を編集したりする機能が備わっており、視覚的にも情報が伝えられる。そのため、その場でちょっとした会話だけでなく、本格的な意見交換も可能だという。
オフィス内に共有スペースを設けて従業員同士のコミュニケーションを活性化させるなど、ニッセイ情報テクノロジーはワークスタイル変革の取り組みを進めている。今回新たに導入したNeat Frameは、従業員が手に取りやすいスタイリッシュなデザインに加え、コンパクトサイズで手軽に持ち運びできる点でメリットが大きいという。「共有スペースで自然発生的に生じるディスカッションの場にNeat Frameを持ち込むことで、離れた場所にいる人同士でもカジュアルなコミュニケーションが可能になるのではないかと考えています」と工藤氏は語る。
工藤氏は次のように続ける。「『全従業員が分け隔てなくメリットを享受できる』『誰もが簡単にアクセスできる』『セキュリティ面で安全に利用できる』という3つの条件が、ビデオ会議製品で重要になると考えています。Neat製品はこれらの要素を満たしています」。ハイブリッドワーク体制の中で従業員同士のコミュニケーションを活性させる手段の一つとして、ニッセイ情報テクノロジーは今後も、Neat製品を使ったビデオ会議を有効活用する意向だ。
(出典:ITメディア https://t.co/1SwsKbTsdb)